東京高等裁判所 昭和45年(ラ)775号 決定
次に本件引渡命令に債権者と表示されている相手方が本件建物の所有権をすでに第三者に移転しその旨の登記を経由しているため、執行当事者としての適格を喪失しているとの主張について検討する。競落不動産につき引渡命令を求めうる者は、引渡命令の性質にかんがみ、競落代金の全額を支払つた競落人またはこれと同視すべき一般承継人に限られ、これらの者は競落後に目的不動産を第三者に譲渡し、その旨の所有権移転登記をした場合でも右不動産の引渡しを求め得べき競売法上の権利を失うことなく、依然として引渡命令の申立人たる適格を有するのであり、さらにこれらの者が引渡命令の発令されたのち右競落不動産の所有権を第三者に譲渡し、その旨の移転登記をした場合にも、自己の名において執行官に申し立てて引渡命令の執行をなさしめうるものと解すべきである。したがつて、これに反する抗告人の主張は失当たるを免れない。
(多田 上野正 岡垣)